「自ら学ぶ力」の育成をICTと共に

「次世代の国際人」育成のための先進的な英語教育

―沖縄県―
沖縄アミークスインターナショナル小学校

アミークス国際学園は、「自分で考え、学び、行動し、自分の将来を自分で切り開く『自立した子ども』を育てる」を教育理念に掲げる、幼小中の一貫校だ。今回取材した小学校では、国語以外の授業や、生活の中での指示・指導も英語で行うことが基本となっている。豊かな自然の中でのびのびと学ぶ子どもたちと、ICTを活用した授業の様子を取材した。

沖縄アミークスインターナショナル小学校
沖縄アミークスインターナショナル小学校

沖縄アミークス
インターナショナル小学校

〒904-2205 沖縄県うるま市字栄野比1212ー1
2011(平成23)年4月設立。世界14ヶ国出身の教職員が在籍(2018年6月現在)し、「次世代の国際人」育成を目指して、幼小中一貫の英語イマージョン教育を行う。

身近な疑問や課題を学習にフル活用

 5年生の教室ではこの日、クイズ大会形式で算数の授業が進められた。使っていたのはWEB上のクイズツール。問題と選択肢を作成し事前に登録しておくと、正解した児童へのポイント加算や解答の分布のリアルタイム表示などができる。また、問題別の正答率や児童の解答の履歴をあとから分析することも可能だ。「子どもたちはこのクイズの時間が大好きなんですよ」と話すのは授業者のスーウン・ユー先生。

 教室前方のホワイトボードに問題と選択肢が大きく提示され、子どもたちは手元のタブレットで解答する。「mean(平均)」を求める計算問題で題材となっているのは「クラスの児童が借りた本の数」「大縄跳びの回数」など身近なデータ。ユー先生手作りの問題だ。子どもたちは正解・不正解のたびに声を上げて盛り上がる。一方で「どうしてこれは不正解なの?」「正解したけれど、もう1つの選択肢も正解だった。なぜ?」など、議論が活発になる場面も多い。真剣な表情で自分の考えを言葉にしたり、友達の意見や先生の説明に熱心に耳を傾けたりと、子どもたちの表情はくるくると変わる。

 未習の内容である、データの中に「ゼロ」が含まれる問題も出題された。「実は、『平均』の学習は始めたばかりなんです。クイズツールを使うと、未習の問題を突然出しても、子どもたちは自ら考え、議論し、結果的に理解が深まります」とユー先生。「共に学ぶクラスメイトがせっかくいるのですから、自然なやりとりの中で他者の意見を聞いて、自分の考えと比べ、理解を深めてくれるのが理想です」

 授業には担任の先生も参加して、必要に応じてフォローに入る。今回の授業の中で担任の寺田文洋先生は「漢字テストで一度だけ0点をとってしまったら、それはなかったことにしてもいい?」と、具体例によって「ゼロ」のデータの意味をさらに掘り下げた。「私もよく横から口を出します。ユー先生の授業では、子どもたちと一緒に楽しませてもらっているんです。今日のクイズのように、正解が1つではなかったり、初めて学ぶ内容が突然出題されたりと、興味を引くしかけがたくさんありますから」

身近な疑問や課題を学習にフル活用身近な疑問や課題を学習にフル活用

子どもたちのアイデアを引き出すICT

校舎の中心に位置するメディアセンター。ここでもパシャリ
校舎の中心に位置するメディアセンター。ここでもパシャリ

 1年生の国語の授業では、2人1組に対して漢字のリスト1枚とタブレットPCが1台ずつ配られた。授業者の土屋直子先生は子どもたちに次のように説明をする。「プリントに、これまで学習した80個の漢字が並んでいます。それぞれマーカーで色がついている漢字が、自分たちの担当の漢字です。今から、その漢字を使って表せる言葉を探して写真を撮ります。そのあと、その言葉を写真に書き込みます。手書きでもいいし、タイピングできる人はアルファベットで。ひらがなでもいいですよ」

 例として、「五」で「五本の指」、「月」で「カレンダーの12月」を撮影して見せた。

 土屋先生は、この授業のねらいについて「子どもたちの実態として、あまり漢字が得意ではないことが挙げられます。1年生の配当漢字を全部学習したこのタイミングで、漢字に興味をもってもらいたい、漢字の学習に対するモチベーションを上げたいというねらいがありました。活動を通して身の回りの物事を漢字で表せることに気づき、漢字を身近に感じたり、日常生活の中で漢字を意識する機会を増やしたりできれば」と話す。

 子どもたちは、校舎内や中庭、たくさんの本が並ぶメディアセンターなどを動き回り、次々と撮影をする。「足」では自分たちの足の写真を撮るなど、物を表す漢字であれば実際にそれを探して撮影すればよいが、動作や概念を表す漢字ではそうはいかない。「走」では一人が走る動作をしているところをもう一人が撮影。「入」では建物に入る様子を、「小」では中庭で見つけた虫を撮影して「小さい虫」と表現するなど、様々な工夫をする姿が見られた。

 子どもたちの発想にはたびたび驚かされると話す土屋先生。「今回も私は写真を撮ることしか指示しませんでしたが、『音』という漢字を担当する子どもたちが音を録音したいと言い出しました。すると、周りの友達が『じゃあムービーにすればいいんじゃない?』と提案してくれて。こういったICT機器を使った授業では、子どもたちのアイデアの豊かさが特に際立ちますね」

 「走」を表現
「走」を表現
漢字は「金」。「コインを撮りたいので貸してもらえませんか?」と英語で交渉
漢字は「金」。「コインを撮りたいので貸してもらえませんか?」と英語で交渉
「足」を撮影
「足」を撮影

段階的に身につけるICT活用能力と情報モラル

 タブレットPCで撮影した画像に文字を書き込んで保存する活動は、1年生にとって決して易しくはないように思える。しかし今回の国語の授業では操作に迷う様子もなく、みな自分の表現したいことに集中していた。「ICT機器やアプリケーションの操作については、いろいろな教科の学習活動の中で繰り返し使っているうちに自然と身についていきますね」と土屋先生。

 「最初は生活科で花の写真を撮ったり、国語で自分の音読を録音したりと、シンプルな機能を使った活動を重ねます。次に、いくつかの機能を組み合わせて、スライドを増やしてお話を作るなどの活動をします。このように、活用方法を段階的に身につけていくと、1年生でも、思ったことを自由に表現できるようになってきます。教員の方が子どもに、今どうやったの?と聞くこともあるくらいです」

 データ管理主任を務める寺田先生が次のように補足する。「IDやパスワードに関しても、情報モラルの指導を段階的に行うことを意識して設定しています。低学年向けには、自分の学年・クラスと動物の絵の組み合わせがパスワードになるようなアプリケーションもあります。学年が上がるにつれて英数字の組み合わせも使うようにしています。大切なのは、IDやパスワードはそれぞれ自分だけのもので、きちんと管理しなければならないという意識づけです。その指導は1年生からしっかり行っています」

段階的に身につけるICT活用能力と情報モラル

管理を任せることで意識が育つ

 タブレットPCは、1・2年生、3・4年生、5・6年生と、2学年ごとに共有している。「壊れやすい物ですから、3・4年生までは分厚いカバーを着けていますが、5・6年生になると外します。大切に扱わなければという意識がぐっと強まります」と寺田先生。「高学年になると、充電などの管理も子どもたちにさせています。使おうとしたら充電されていなかった、ということも起きますが、そういう経験を通して、きちんと管理しようという意識が定着します。端末に貼るラベルも同じです。はがれてきてしまったラベルを新しく子どもたちに貼らせたのですが、端末の番号とラベルの番号が一致しない状況になりました。出席番号20番の友達に送りたいデータが正しく送れないといったことが起きて、これではまずいと気づいたようです。すぐに子どもたちから『番号を確認して貼り直したい』と言ってきました。自分たちで管理する意識が芽生えていると思います」

学びながらICTを「使いこなす」

 児童用タブレットPCにインストールするアプリケーションや授業で使うツールなどは、毎年2月頃に先生方が話し合って決めている。タブレットPCは2学年ごとに共有しているため、アプリケーションなどは3段階に分けて検討する。「授業ではアウトプットを大切にしているので、プレゼンテーション用のツールは特に重要ですね。子どもたちがスムーズにスキルアップしていけるように心がけています」と寺田先生。「今日の授業で使ったクイズツールは、去年まで本校ではほとんど使っていませんでした。ユー先生が今年赴任されて使うようになり、子どもたちがあんなにも楽しく学べるツールだとわかりました。教員が経験談を持ち寄りディスカッションを行い、好事例は他の学年にも展開していきたいと考えています」

 「本校では中学生になると生徒全員が自分のノートPCを持ちます。小学校の6年間で日常的にICTを活用して、使いこなす力を身につけてほしいです」(寺田先生)

 先生方のチームワークと子どもたちの発想力・行動力によって、ICTの活用と学びはまだまだ広がりを見せそうだ。

教諭
土屋 直子 先生

教諭
スーウン・ユー 先生

教諭・データ管理主任
寺田 文洋 先生

事務局次長
間地 泰正 氏

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