今まで通りの授業にタブレットPCを上手に組み込む

昨年度、山口市のタブレット端末導入実証実験事業のモデル校に選ばれた市立白石小学校では、約40台のタブレットPCを導入し、一人1台の活用で検証を進めている。

山口市立白石小学校
山口市の中心地、県庁など官公庁が立ち並ぶ一角にある市立白石小学校は、明治5年創立の歴史を誇る由緒ある学校だ。
〒753-0070
山口県山口市白石1-10-1
TEL083-922-0063

説明文の読解でタブレットを活用

タブレット上で、一段落ずつ読み解く。紙の教科書は一切使わなかった。

 「今までの授業の中に、タブレットを上手に組み込む。まったく新しい授業をゼロから作るのではなく、タブレットを使うことで、授業の効果や効率を上げる。そう考えています」。松田伸宏校長は開口一番、そう語った。

 この日訪れた3年生の国語の授業も、その通りになっていた。「こまを楽しむ」の単元で、さまざまなこまについて解説した説明文を読み解く授業。今日の授業のねらいは、「どの段落が、どのこまについて説明しているのか」を正確に理解することだ。授業は、従来慣れ親しまれているもので、①ワークシートを使い、教材文を段落ごとに読み解く、②何について説明した文か、一人ひとり考える、③ペアで話し合い、みんなに発表する、という流れになっている。だが、随所にタブレット(iPad)と、教務支援システム『らくらく授業支援』が使われ、絶大な効果を挙げていた。

 担任の西尾靖子先生は、教科書の本文を段落ごとに切り分けたデジタルワークシートと、さまざまなこまの画像を子供たちのタブレットに送信。まずは「その段落が、どのこまについて説明しているか」を考えさせ、該当するこまの画像を選ばせた。

タブレットを使う五つの良さ

 タブレットを使う良さは次の通りだ。

こまの特徴について書いた箇所を探し出し、赤線を引く。
タブレットを見せ合い、隣同士で話し合う姿もよく見られた。協働学習が活発に行われている。

①読み解きやすい

 フルカラーでとてもキレイであり、拡大表示もできるので、こまの細部まで観察できるし、気づきも生まれやすくなる。

②試行錯誤して考えを深めやすい

 タブレットなら、本文に線を書いたり消したりできる。その作業を通して、子供は考えを整理し、深められる。

③自分の意見を伝えやすい

 線を引いたり、キーワードを手書きしたりできるので、自分の意見をわかりやすく伝えることができる。

④みんなの意見を一覧できる

 タブレットでまとめた意見を一覧表示できるのは、大きなメリットだ。子供は、自分の意見が合っているか、友だちはどんな意見を持っているのか一目瞭然。先生は、全員の意見をひと目で把握でき、良い気づきをした子供を見逃さず、発表の機会を与えられる。

⑤授業がスムーズに進む

 タブレットを使えば、デジタルワークシートを全員に配布するのも、わずか10数秒。発表も、一覧画面から指名者のタブレット画面を選べば瞬時に表示され、たくさんの子供たちに機会を与えられる。授業がスムーズに進むので、この日の授業では、合計5段落分の読解ができた。タブレットでなければ、2段落が限界だっただろう。

『らくらく座席表評価』も好評

 白石小は、タブレット対応の教務支援システム『らくらく座席表評価』も導入。タブレットに表示された座席表をタッチして、出欠や発表回数の記録、学習状況と評価などを記録できる。

 「今までは紙で記録していたので、書くのも集計するのも大変でしたが、これなら画面タッチで簡単にできるので便利ですね」と、理科専科の酒匂文菜先生は述べた。

タブレットの効果を早くも実感中

 西尾先生は算数や社会・理科から保健体育まで、さまざまな教科や単元でタブレットを活用している。すべての先生が積極的にタブレットを使っているが、「授業計画はそのままに、タブレットが活きる場面に組み込む」という基本姿勢はみな同じだ。

 「イベント的に使うのではなく、普段の授業をタブレットで良くしたいと考えています。それにこの方法なら、誰でもできる。だから普及も進みます」と松田校長は話し、「結局大事なのは、担任の授業力や指導力」だと指摘する。

 白石小がタブレットを使い始めて、まだ半年。このわずかな期間で、すべての先生がタブレットを授業で使うようになり、そして効果も上がっている。「特に学力低位の子供に、いい影響が表れています。たとえばタブレットなら、全員の画面が一覧で表示されるので、今までは自分から発表しなかった子供も、自分の意見や回答を見てもらえるのがうれしくて、進んで発表するようになりました」と、笑顔で語る松田校長。タブレットには、「授業への参加意欲や自己肯定感を高める効果もある」と実感している。

タブレット活用を支えるICT支援員

 白石小のタブレット活用を裏方で支えるのが、情報教育指導員(ICT支援員)の宮田佳子さんだ。その仕事は、授業中の機器操作や機材の保守管理にとどまらない。「担任の先生がどんな授業をしたいかをまず聞いて、そのためにタブレットを使う方法をいくつか提案します。教材づくりを行うこともありますね」。宮田さんは教員経験者であり、授業づくりに精通しているからこそ、一歩踏み込んだ支援ができているのだ。

校長
松田 伸宏先生

3年1組担任
西尾 靖子先生

理科専科
酒匂 文菜先生

ICT支援員
宮田 佳子さん

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