コンピュータの利活用を通じて「人との関わり」を学ぶ

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 山形県の北部に位置する鮭川村。村名の由来ともなっている鮭川は国内でも有数の清流として、また愛好家には「幻の魚」と呼ばれるサクラマスの釣り場としても知られている。
 そんな鮭川のすぐそばにあるのが、2005年の統合で今では村内唯一の中学校となった鮭川村立鮭川中学校。2008年度末にパソコン教室が一新されたばかりの同校を訪ね、技術科の高山久先生にお話を伺った。

効果的にICTを活用するための
新しいパソコン教室

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リニューアルされたばかりのパソコン教室には、最新スペックのPCが並んでいる。

 2009年度から新しくなったばかりのパソコン教室だが、現在は高山先生が担当する技術科や、総合的な学習の時間での活用が中心となっている。他の先生方も新しいパソコン教室の利用研修には参加されており、今後は他の教科でも大いに活用されていくことだろう。
 この新しいパソコン教室には、授業の中でICTを最大限に活用するための、様々な工夫が凝らされている。チエルの製品も多数導入されており、先生と生徒たちのICT利活用を支えている。その具体的な使用方法を伺ってみよう。

サムネイル画像をスクリーンに投影
しながら授業を行う

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教卓の様子。右側のディスプレイに生徒の操作状態が常に表示されている。

 教卓の先生PCを見せていただくと、デュアルモニタの一方のディスプレイには授業支援システム『InterCLASS』が起動していた。
 高山先生は、授業中は『InterCLASS』をいつも立ち上げた状態にしているという。『InterCLASS』のコントロール画面には全生徒PCの画面の状態がサムネイルとして表示される。本来は先生が生徒の操作状態を把握するための機能だが、高山先生はこの画面を教室前方のスクリーンにプロジェクタで投影して授業をするのだという。
 「こうすることで、子どもたちは自分の作業が他の生徒と同じ状態なのかを常に確認しながら進められます。みんなスクリーンを見ながら作業をしています」
 効果的・効率的に授業を進めるための工夫の一例と言えるだろう。

学校のパソコン教室に不可欠な
セキュリティ対策

 もうひとつ、円滑な授業を成り立たせる上で欠かせないのが、システムリカバリソフト『WinKeeper』だ。昨年度までの旧システムにはこうした仕組みがなく、今回の更新の際に高山先生が特に希望したのが、このリカバリソフトだという。不特定多数の生徒たちが共用する教室のPCには、設定が変わってしまったり、必要なファイルが消えてしまったりといったトラブルがつきまとう。常に安定した学習環境を保つため、リカバリソフトは必須だと高山先生は言う。
 「前任校では別のリカバリソフトを使っていました。『WinKeeper』は任意のフォルダを復元対象外に設定できるため、作業途中のファイルや次回以降の授業でも継続して使うファイルを置いておけるので、とても便利です」
 リカバリソフトの導入を切望した高山先生も、実際に導入された『WinKeeper』は「まさにイメージどおりの製品だった」と太鼓判を押してくださった。

 高山先生も必須と言い切るリカバリソフトだが、前任校ではひとつ悩みがあったようだ。常にコンピュータが一定の環境に保たれるが故に、起動すると毎回アップデートを促すメッセージが表示されてしまう。
 「アップデートは非常に重要だが、学校の実態としては、されていないケースが多いのでは?」と高山先生は指摘する。アップデートが実行されるには時間がかかるし、何より一度始まってしまうと完了までは他の作業をストップせざるを得ないからだ。
  このなやみを解消したのが『InterMANAGER』。設定されたスケジュールに従い自動的にアップデートを実行する仕組みを実現している。「アップデートは夜間に行われるため、動作を見たことはないのですが、大変助かっています」と高山先生。

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豊かな自然に囲まれる鮭川中学校。すぐ近くを清流・鮭川が流れている。

最近の子供たちは教員が思っている
以上にICTスキルが高い

 これらのコンピュータ自体のセキュリティ対策と並んで重要なのが、インターネット上の有害情報への対策であるWebフィルタリング。ここ鮭川中学校では『InterSafe』が搭載されたオールインワンサーバの『eNetStar』を利用している。
 「最近の子どもたちは家庭でもインターネットを利用しており、我々教員が思っている以上にスキルが高いのです。掲示板やチャットだけでなく、動画サイトで動画を見たり、Webメールを使ったやり取りなどは当たり前のようにやっています」
 しかし、こうしたインターネットの活用は、時には授業の妨げとなってしまうこともある。先に挙げたようなサイトは『InterSafe』で閲覧を規制することができるため、安心して授業でICTを活用できるというわけだ。

今後は動画の活用と
グループワークに取り組みたい

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天吊のプロジェクタ。これ以外にも持ち運んで使えるプロジェクタが4台あり、普通教室でも活用されている。

 最後に高山先生は、今後取り組んでみたいと考えている授業の計画について話してくれた。
 「ひとつは動画の活用です。『InterCLASS』では、先生PCから配信した動画を生徒PCで保存する機能があるので、それを使って動画編集に活用したいと考えています」
 3年生の授業では、これまでも村の紹介や学校紹介の30秒CMを作る実践をしてきたというが、動画を扱うとどうしても処理が重いため、これまでは静止画やPowerPointを利用していた。今回の更新でPCは最新モデルとなり、動画編集にも十分耐えるスペックとなった。そこで、これまでは難しかった動画を使った実践を考えているのだという。
 「子どもに動画を撮らせるのは難しいが、学校では運動会や文化祭などで撮影した動画がたくさんあります。これらをうまく活用することで、動画編集に取り組んでみたいですね」

 もうひとつがグループワークで、こちらも『InterCLASS』の機能を活用した授業実践を計画している。『InterCLASS』にはグループで1台のPCを共有して共同作業をするグループワークという機能があるが、それを活用して数名のグループ単位で1つの作品を作らせようというアイディアだ。
 「基本的には、これまで紙とペンでやっていたことを、ICTを使ってやるということです。大事なのはグループでの活動を通じて、コミュニケーション・スキルを磨くという点ですね」
 具体例として、生徒たちが作った作品を見せてくれた。簡易的なアニメーション画像を作ることができるフリーソフトで作成したもので、言わばパソコンで作る「パラパラまんが」のようなものだ。このような作品も、1人で1作品を作るのではなく、グループで作業させることに意義があるという。

 「動画を使った学校紹介でも、グループワークでも、重要なのは『人との関わり』ということです」
 先にも触れたように、今の子どもたちはコンピュータを操作するということに関しては、すでに高いスキルを持っている。これからは「情報をどう扱うか」というスキルを身につけていかなくてはいけない、と高山先生は言う。
 単に動画や音声の取り扱いを学ぶということではない。自らの作品を互いに発表しあうことで「情報」というもののあり方を学ばせたい。例えば、自分の作品を見て誰かが嫌な思いをするようなことになったとしたら、それはなぜなのかを考える。そうした取り組みによって、真の「情報」を扱うスキル、そして他者とのコミュニケーション・スキルを身につけることができる。これが高山先生の次の取り組みだ。今後の成果に注目したい。

技術科 高山 久先生

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