公開日:2007/10/01

ChangDong(チャン・ドン)中学校で見たICT利活用授業

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 ソウル市特別道峰区の情報化教育指定校として、「サイバー家庭学習」に取り組んでいるチャン・ドン中学校(ホアン・ホギュ校長)。各教室や職員室のICT環境整備や教員の活用状況は、日本からするとうらやましいほど。しかし「ごく一般的な公立校」であり「特別にICT化が進んでいる学校というわけではない」という----。

ICTが活用できる「教員養成」のために
 教育大学の教員を「変える」。通信費用の維持が課題に

国との一括契約で
通信コストの削減をはかる

---- 最近の問題点や今後の課題について教えてください

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 「まず1つ目は、整備した機器がリプレイスの時期を迎えている点です。その予算は膨大ですが、中央は自治体に、自治体は中央に、責任を押し付けようとしています。大都市ではある程度の予算が確保できますが、地方はそれが難しい。その点をどう解決すればいいのか、が悩みとなっています。

 2つ目は、通信費用の課題です。初期のころは通信事業者に費用を安くしてもらっていましたが、ここにきて、今の価格のままでは契約を継続できないと言われています。これまで通信会社は自治体ごとに契約していましたが、これからは国と通信事業者で一括契約を結ぶなど、コスト削減の工夫が必要です。既に大都市に関する契約は合意を得ていますが、地方に関してはまだ合意されていません。そのため、説得半分、強制半分(笑)という形で、各社で競争してもらうことを考えています。

 3つ目は、教員養成についてです。教育の情報化を効果的に進めるには、教員養成の段階から考えていく必要があります。現在の教員養成のプログラムにICTを取り入れたものは多くありません。教育大学のカリキュラムを変えても、実際に教えている大学の先生方はICTについて詳しく知りません。そこで、これからは教育大学の教授を変えよう、という動きになっています。大学の教授陣を集めて意見を聞きながら、進めていこうと思っています。  最後は政府です。持続的にeラーニングなどの教育に関するポリシーを持っていれば良いのですが、官僚のスタンスはその時々で変わるもの。KERISはあくまでも問題点を提起する機関なので、課題を解決していただけるよう教育の情報化の大切さを訴えていきたいと思っています」

教育コンテンツの共有がカギ

---- 日本も今、さまざまな課題を抱えています。
今後教育の情報化を進める上でのヒントをお願いします

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ソウル特別市JUNG-GU(中区)
SSANGNIM-DONG(雙林洞)22-1

 「日本では「政府が教育の情報化になかなか参加しないため、援助も期待まで届かない。韓国は国が支援してくれるため、皆が参加できるのだろう」とよく耳にします。しかし、私はそうとも言い切れないと考えています。というのも、韓国では政府が多くの援助をすると同時に、様々な分野で大きく干渉します。政府からの援助も重要ですが、それ以上に大切なのは、先生方の自発的な取り組みを吸い上げ、拡散できる仕組み作りです。

 また、コンテンツのシェアリングも効果があります。国、放送局、企業、KERIS、先生、様々な人々がコンテンツを作成していますが、先生方に人気の高いコンテンツは誰が作ったものだと思いますか? 答えは、「先生」です。先生が制作したコンテンツは、「エデュネット」や自治体でもアップロードしています。教育コンテンツは、学校内、家庭と学校、地域内、全国で----など、積極的にシェアリングしていくと良いと思います。日本でもシェアリングをより積極的に進めていくことがポイントとなるのではないでしょうか」

韓国の「一般的な公立校」チャン・ドン中学校の環境は?

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ソウル特別市DOBONG-GU(道峰区)
BANGHAK-DONG(放鶴洞)1-722

 校内には光回線が敷設、校内LAN、各教室へのPC整備、プロジェクションTVは90年代後半に実現。先生達は職員室のPCで校務・教材作成を行っている。また「サイバー家庭学習」の指定校で、生徒は家庭から学校HPにアクセスし、宿題や資料のダウンロードや提出することができる。
 校長の意思で指導科目を選べる選択科目では、同校は「コンピュータ」が選択されている。生徒は1年生で情報モラルやハードウェアなど全般的な知識を学ぶ。2年生では文章作成ソフトや表計算・プレゼンテーションソフトなどを使った実習、3年生ではグラフィックなどを学習している。クラス数41クラス、生徒数1,347名、 教職員数80名。

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▲KERISのサイト
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▲Webサイト「EDUNET(エデュネット)」

KERISでは、Webサイト「エデュネット」に収められている授業事例等を紹介する冊子(ハングル語のみ)と、教育の情報化に関する世界の動向やKERISの活動を紹介する冊子「KERIS」(ハングル語と英語の2種)を制作、配布している。
3ヶ月に1度発行されている英語版「KERIS」。07年春発行のものには、eラーニングコラム「eラーニングによる韓国の教育革新」、や現場リポート「数学大好きクラスでの生徒との300日」、「KERISニュース」(eラーニングの分野で各国と協働するKERISの動向など)が掲載されている。

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[英語版]/マガジン「KERIS(ケリス)」
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▲[韓国版]/マガジン「EDUNET(エデュネット)」

−内容−
特集は、(1)今年1月にフランス・パリのユネスコ本部で、韓国がフィンランド、クウェートとともに表彰されたセレモニーのレポートや、(2)フィンランドにおけるeラーニングの社会的位置づけとスカンジナビア半島周辺でのオンライン学位取得プログラムについての解説、(3)ICTの教育利用が遅れているアラブ諸国で、学習ツールの一つにインターネット利用を進めているクウェートの大学を紹介している。

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