パソコンを使わずにいられなくなりました

CALL教室を使って "確かな実感"や"学習の喜び"を大切にする授業

 東京都立桜修館中等教育学校は、この4月(2006年)に開校したばかりの、中高一貫教育を行う新設校です。開校1年目なので現在の生徒は1年生(中1)の4学級160名のみ。新しい校舎、新しい設備の中で、東京都全域から集まった生徒たちは、のびのびした学校生活を楽しむ中で英語学習にも打ち込んでいます。

■毎朝、大声で「Good morning everyone!」

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 桜修館中等教育学校の英語科教諭のお一人、平山澄子先生の授業を拝見し、お話をうかがいました。 「本校には、授業の前に『朝学習』という時間があります。15分間、校内放送を利用して生徒に学習させるんです。英語は何よりも学びたいというモチベーションが大切ですから、1学期の最初に何週間かの枠を英語がもらって、毎朝、大声で「Good morning everyone!」って感じで呼びかけました。といっても15分間英語で生徒に話しかけるわけではないんです。間にNHKのラジオ講座をはさんで、朝のクリアな脳で英語に親しんでもらいました。そのせいかどうか、うちの生徒たちは他校に比べてモチベーションが高いという調査結果が出てるんですよ!」  ちょっとお話を聞いただけでも、平山先生がポジティブな性格の方だということがわかります。その平山先生は「パソコンが得意じゃない」と言いつつも、以前からITを授業に採り入れるのに熱心でした。 「最初にパソコンを使って授業をしたのは、高校1年生のオーラルコミュニケーション。プレゼンテーションをやらせました。グループごとにテーマを選び、インターネットや本で調べて、PowerPointを

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使って英語でプレゼンテーションをしました。PowerPointを使うと、英語の文章の流れと同じ展開で発表ができるんですね。イントロダクションがあって、トピックがあって、サポーティングがあって、コンクルージョンがある。"これは使えるな!"と思って高3の授業でもいろいろやりました。ライティングでは、生徒が英文を打ち込むのを教師卓からモニターできますから、見て、介入して指導ができます。良い表現を使っている生徒がいたら、それを全員のディスプレイに表示します。『紙に書きなさい』といって回収すると、次の週に説明するときには、生徒はもうすっかり忘れてしまっているから、なかなか効果が上がりません。パソコン教室を使えば瞬時に採点ができて、瞬時にコメントができる。そこがわかると、パソコンを使わずにはいられなくなりました」

■伝わったな!という感じを持たせるように

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 桜修館中等教育学校には『CaLabo EX』の導入されたCALL教室があります。たてに4列ディスプレイの並ぶ生徒席の前方には、プロジェクターとスクリーンが設置され、9月はじめ取材に訪れた日には、教室後方の床になぜか雨傘が開いたまま放置してありました。授業は元気よく始まりました。最初に平山先生は生徒を立たせて、ちょっとした体操で心身をリラックスさせ、前回に学習した「How many ......?」の表現の復習からスタート。さっそく、生徒に質問しました。 「How many umbrellas are there?」  当てられた生徒は教室内を見回し、床の上の開いたままの雨傘と、その側に畳んだまま置いてある2本の折り畳み傘を探し出して、 「There are three umbrellas.」 と答えました。なるほど傘は、教材だったのかと納得して前方のスクリーンを見ると、質問文と正解が大きく表示されていました。 「中1の授業では、教科書だけで授業をするとイメージが思い浮かばないから、生徒の頭に英語が入っていかないのでは、と心配でした。そこで、授業ではイメージが浮かぶような画像をPowerPointに貼り付け、文字も入れて、プロジェクターで大きく投影するようにしています」  実物の雨傘を使ったり、プロジェクターを使ったり、平山先生は"確かな実感"のある授業を重視しているようですが、耳で聞く訓練でも"確かな実感"を大切にしています。『CaLabo EX』には『フリーペアレッスン』という機能があり、生徒は教室内のランダムなペアとヘッドセットを通して会話練習をすることができますが...... 「生徒は、ヘッドセットを通して遠くの友だちと話すのが楽しいらしく大好きです。でも中学生ぐらいでは、やはりお互いの目を見て会話する時間が不可欠だと考えています。目で見て、伝わったな!という感じを持ってしゃべらないと、"確かな実感"が残らないと思うんです。ですから、ヘッドセットをつけてランダムな相手と会話練習した後に、となりどうしで会話したり、遠く離れたペアが大声で会話したりする時間を必ず設けるようにしています」

■学習の喜びとともにわかったほうがあとに残る

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 この夏休みには補習があり、生徒は多読(エクステンシブ・リーディング)に取り組みました。 そのとき、教材のテキストについているカセットの音源を『CaLabo EX』で聞けるようにし、全員が正しい発音の音声を聞きながら多読に打ち込みました。 「最初に、英語学習に多読がなぜ必要かということを時間をかけて話しました。目に飛び込んでくる順番に理解しないと読む力は伸びていかないということ、わからないところはそのままにして、出てくる順に理解していけばいいこと、多読はリスニングにも役立つことなどを話しました。初めての試みでしたが、子どもたちは、何の違和感もなく多読に入っていきました。で、最後に感想を書かせると『言葉の意味がわからないところもあったけれど、読んでいくうちに突然わかった!』と喜んでいました。辞書を引いてその場でわかるよりも、そういう学習の喜びとともにわかったほうが当然あとに残りますよね」

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"確かな実感"や"学習の喜び"を大切にする平山先生のお話は、すぐれたシステムを使いながらも、学ぶのは心や肌でものを感じる生身の人間であるといういうことを改めて思い起こさせてくれました。

平山澄子先生

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